CT110に郵政キャリアを取り付けたのは、先日ご紹介したとおり。
ご存知のように、CT110の純正キャリアには、エアクリーナーから伸びる、通称「象の鼻」がつながっており、そこには直径20mmの穴が開いているキャリア下インレットBOX(と勝手に命名・以下BOXと記述)が純正キャリア下にスポット溶接で付いている。説明するのもなんだか難しいが、ハンター乗りなら知っていること・・・
んで、このBOXの存在は、CT110独特のものなので、キャリア交換をされている方みなさんが腐心するところである。
郵政キャリアに付け替えると、この「BOX」がなくなってしまうため、そのままではエンジンの吹け上がりが悪くなる。
そう、アクセル開けてもエンジン回転が2千回転以上は上がらなくなる。
つまり何かしらの対策が必要なのだ。
で、こうしてみた。
いわゆる空気絞りのためのカバー。
スーパーカブのノーマルメッキキャリア用に作られたものだ。
内部には直径6mm×4個、8mm×4個 の穴があり、直径20mmの穴と同じ面積になっている。
無垢のアルミ材より旋盤で加工されたワンオフ物。
カバーを「象の鼻」から取り外して裏返してみるとこうなっている。
でも、これを付けて走ってみると、どーもなぜか、(純正キャリアのBOX付きの時と)走行フィーリングに差がある。
まず、加速時に空気が足りないとエンジンが「唸って」いる。エンジン振動も若干多く感じる。
減速時エンジンブレーキが利いている時、マフラー内でアフターバーナーのような「パンパン」音が軽くする。
そしてアイドリングが不安定。信号で止まった時、まさに止まる瞬間にエンジンがストールする時がある。
静止時は1300回転くらいでアイドリングしているのに、車体が止まる瞬間に「ぷすっ」っとストールする。
これは今はやりの「アイドリングストップエンジン」だと思えば良いのだが、すぐに信号が青になってしまうと、超アタフタモードになる。
さらに中間加速時のトルクが、ちと薄い(細い?)。
これらの事象は、キャブオーバーホールから始まって、キャブセッティングを色々いじったり、エアエレメントを交換しても、エンジンオイルの銘柄を変えても、クラッチ調整しても改善しなかった。
流入空気が足りない・・・ガスが濃くなったり薄くなったり・・・安定していない・・・というフィーリングだ。
純正キャリアにすると、なぜかこういった事象はなくなる。
はて??
それでは、考察。
純正キャリアのBOXの寸法から、そのBOXの容積はだいたい240cc程度だと判る。
しかも、空気取り入れ口があるリアフェンダーの真上の部分が約100cc、そしてちょっとBOXが大きくなっているその後に続く直径20mmの穴までが約140cc。
このBOXはなんなんだ?いったい何のためにあるんだ?
雨水が入らないようにキャリアの下から空気を吸っている。 まぁそれもアリだ。
しかし・・・
かつて「ファンネル」で流入エアの調整を行っていたときのように、ファンネルが短いと高速回転時の出力は上がるがトルクがないといったような機能があるのではないか?
ゾウの鼻を伸ばせばトルクアップするというようなことを誰かから聞いたことがあるが・・・
吸気する際の、空気の脈動を使っている・・・ヘルムホルツ共鳴?・・・パルス効果?・・・
はてな?
ううむぅっ・・・
ってーなことを考えてると、流体力学やら何やらのハナシにそれてわかんなくなり、ついでに時間も無用に費やされるんで、とっとと先を急ごう。
とりあえず、方針としては、BOXは「必要」ということで強引にハナシを進める。
で、どーする?郵政キャリアとBOXの関係。
提案1:いっそのこと、純正キャリアについているBOXと同じものを作って 郵政キャリアに取り付ける。
結論: 却下。まったく同じものなど作れるわけがない。約0.4mmはある鉄板のプレス物だ。
提案2:純正キャリアからBOXを取り外し、郵政キャリアに移植する。
結論: そうそう それでいきまっしょ!
考察から結論までが極端に短かすぎるが、そうと決まれば話は早い。
では早速・・・純正キャリアからBOXをむしり取る。
スポット溶接部分を6mmドリルで6箇所ザグリを入れ、そして5mm幅のタガネでカンカンカン。ものの30分くらいか。
しかし、ずいぶんと錆びているものだ。
キャリアが黒っぽく映っているのは、「黒くスプレーで塗ったから」である。ススけて汚れているわけではな
く、サビがひどかったのでつい・・・
サビを落として純正色で塗装し、スポット溶接は・・・できないので接着剤。(気合入れて溶接するよりお手軽)
接着剤は「セメダインSuperX クリア」を使用。固まっても弾力性のある強力接着剤である。
別に強度が必要な場所ではないし、熱もかからない。エアの漏れがなければそれでよいのだ。
そして・・・
ここで、タイムアップ・・・今の時期は夕方5時ともなると暗くなってしまう。
そこで一句
太陽が 屋根の谷間へ 消えてゆく
・・・暗くなってヤーネ。
まぁ 駄洒落を言っても空は明るくはならない。でも疲れた気分はちょっと明るくなった。
まだ塗装と接着剤が完全に乾いていないので、組み立ては明日ということになり、本日終了。
後日追記:
調子悪かったが、BOX移植後は、ほぼ直ったようだ。
トルクが細かったのはだいぶマシになり、中間加速でも太くなった。
空気が足りないと唸っていたエンジンも、空気をいっぱい吸って元気そうな音がしてる。
加速時に「コココココ」といっていたのが、「タタタタタ」になる・・・
ただ、信号ストップ時の回転数ダウンは、ストールしなくなりだいぶ収まっている。
でもまだ、止まった瞬間、回転数が千回転を割り込む。
キャブ調整はまだなので、これからじっくりと行うことになる。